コラム

「変える」をキーワードにして、少し肩の力を抜いた、ざっくりばらんなネタをお送りします。「変える」ことに挑む皆さまの気分転換になれば幸いです。

業務マニュアル整備の秘訣と現場定着化を支援するソリューション

2022.07.18

本稿では仕事を属人化させない体系的な業務マニュアル整備の秘訣と、その手順の現場への定着化を推進・管理できるソリューション Octpath (オクトパス) をご紹介します。

業務マニュアル整備の沼

一言に業務マニュアルと言っても、会社にはさまざまなタイプの業務マニュアルが存在します。内部統制やISOの要請から整備されている業務マニュアルは、フォーマットも統一され、組織として維持管理されていると思いますが、改版の手間を最小限にしようとするためか、少々抽象的に記述されており、実際にその業務を実行するには情報不足で実務向きではありません。制度変更やシステム変更の際には、その定着化を目的とした新たな業務マニュアルが作成され現場に展開されますが、変更される業務にフォーカスされており、変更されないその他の業務との関係性は記されていないため、担当者が読んで理解したら終わり、結果として現場の業務全体がどのように変わったのかは、担当者の頭の中にしか残りません。仕事を覚え始めの方は、自分のための業務マニュアルを独自に作成していらっしゃると思いますが、業務に精通してしまうともはや更新しなくなり、他の人に教えたり、引き継ごうとする時には陳腐化しています。

現場からすると、内部統制やISO、人事総務から毎年のように業務マニュアルの更新やレビューを依頼され、システム導入時には全く別のマニュアルを押し付けられ、しかも日々の実務、教育、引き継ぎにはそれらだけでは不十分なので、別途独自のマニュアルを整備しなくてはならないという状況に苦しんでいらっしゃることでしょう。なんとかならないものでしょうか。

業務マニュアルを体系的に継続的に維持管理するためのポイント

前述の通り、業務マニュアルが様々な異なる目的やイベント毎に作成されると、相互に重複する領域が生まれ、互いの整合性を取ることが難しくなります。また、業務マニュアルの中に、業務規程や会社ルール、ガイドライン、チェックリスト、見本、標準書式などを埋め込めば埋め込むほど、将来それらの変更があった時に更新する工数が大きくなります。そこで、組織として業務マニュアルを整備する際は、その体系や範囲をしっかりと設計しておくことが重要になります。お勧めしたいポイントをご紹介します。

概要から詳細へ階層化しレベルを定義する

会社の業務を概要から詳細へ向けてレベルを区別して語ることができるようにすれば、業務改善やシステム刷新などのイベントにおいて、どこが今回のスコープ(対象範囲)となるかを話しやすくなります。会社全体の業務を階層化する際のレベル分けの一例をご紹介します。

各レベルの粒度感は上図に示す通りです。レベル1と2は二つの視点に分けてあります。組織視点の方は文字通り組織別の業務棚卸のやり方です。一方の組織横断視点というのは、例えば商材/商流/物流のパターン別に、お客様起点で商談、見積、受注、出荷、納品、請求、入金という一連の流れを整理したい場合に併用します。組織横断視点のレベル2の業務は、組織視点で整理されたいずれかの組織のレベル2の業務によって成り立っています。このため、レベル3では、組織横断視点と組織視点の双方から同じ業務フローにブレークダウンされます。レベル3の業務フローにも、あまり細かな事までは書かないことがポイントです。どの担当者が、何をトリガーに、どんなインプットから、どんなアウトプットを生み出すか、を端的に表現します。その中身のHOWに該当する部分は、レベル4として業務手順書に譲るようにします。

このように、企業全体で業務を可視化する際の体系・ルールを定めておくことにより、重複して何種類ものフローやマニュアルが生まれることを防ぐことができます。また、何かを変更する際に上下左右への影響を意識するようになり、業務フローや業務マニュアルを継続的にメンテナンスする文化を醸成することにつながります。

業務規程、ルール、ガイドライン、チェックリスト等は埋め込まずリンクする

業務規程、職務分掌規程、決裁権限規程等はコーポレートの管理部門が共有フォルダで一元管理し、版管理を行なっていると思います。同様に、業務上のルール、ガイドライン、事務プロセスで参照するテンプレートやチェックリスト等も、それぞれに主管部署を決め、一元管理・版管理を行いましょう。これらの情報は前述の業務一覧、業務フロー、業務マニュアルに直接書き込むことを避け、URLをリンクして常に最新版を参照できるようにしておくことがポイントです。昨今ではOffice365、Google Drive、BOXなどにより、ファイルのURLを変えずにバージョンを繰り上げてゆくことが可能になっていますので、各種ファイルの管理をしている主管部署も、リンクされていることを意識してメンテナンスするようにしましょう。

作業手順は出来るだけシンプルに

レベル4の業務手順書、業務マニュアルは、凝った内容にすればするほど、作成者に属人化してしまいます。連番・箇条書きでシンプルに、業務の手順を文字に起こすことを心がけましょう。次のようなイメージで十分です。

(出典: 「業務マニュアルの作り方・育て方・使い方」株式会社カレントカラー)

業務マニュアルを現場に定着化させるソリューション

さて、業務フローや業務マニュアルがしっかりと整備されたとしても、現場はその通りに動いているとは限りません。新業務を現場に展開する立場の方からすると、これを現場に徹底させて、モニタリングし、パフォーマンスを継続的に改善できる仕組みが欲しくなります。ここまでにご紹介したアプローチに親和性が高く且つ、比較的安価で手が出し易いソリューションがありましたのでご紹介します。株式会社アクロリア様のoctpath (オクトパス)というWebサービスです。

公式Webサイトはこちら:https://octpath.com

このサービスの特徴は、現場に対して業務ステップ毎のオンラインマニュアルを提供し、手順やチェックリストを詳細に示すことができるのと同時に、現場が実際にその仕事を実行した日時を記録し、管理者はその案件別の進捗状況や実行回数、所要時間を評価できるという点です。作業実績入力の仕組みだけを現場に押し付けると工数が増えるだけという印象になりますが、オンラインマニュアルを提供するついでに、それを見た実行者がボタンを押すだけで作業記録になるという所が秀逸。管理者と現場のWin-Winになります。

筆者の私見ですが、ミスや放置が許されない顧客接点の業務や、内部統制のリスクポイントで自社システムによる統制がかけにくい業務においては、octpathで実行状況をモニタリングできるようにすると有効だと思います。限られた業務範囲であればこのソリューション単体で、業務可視化〜モニタリング・評価までの改善サイクルを回すことができそうです。業務範囲がより広くなった場合には、本稿の前半でご紹介したように、全社的な業務プロセスの可視化体系を設計・運用し、要所要所でoctopathを併用するといった組み合わせをお勧めします。

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