コラム
「変える」をキーワードにして、少し肩の力を抜いた、ざっくりばらんなネタをお送りします。「変える」ことに挑む皆さまの気分転換になれば幸いです。
現場リーダーの業務改善:②課題の設定方法

前回のブログにて、課題とは何か、その設定方法と課題検討の第1ステップとしての「気づき」の抽出までを記載しました。今回のブログでは、挙がってきた「気づき」について、どのように整理し「課題」を設定するのかという点について説明していきたいと思います。
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これやる意味があるんですか? 取り組む課題を考えよう
養命酒製造株式会社調べの2019年の調査では、後輩や部下から言われると、胃腸不調になりそうだと思うセリフの第1位は「これやる意味あるんですか?」だったそうです。https://www.yomeishu.co.jp/health/survey/pdf/20190424_icho_tsukare_bizperson.pdf
確かに、これを言われると辛いですね。課題の設定についても、あまり意味の無い課題に取り組むと徒労に終わりますし、周りが付いてこなくなるわけで、何を課題設定するかは重要なポイントです。
前回(https://kaerujuku.jp/column/20201029/)のコラムでは、取り組む課題を設定するにあたって現状の「気づき」を出していく方法について記載しました。今回のコラムでは、色々と集まった「気づき」から何を取り組む事(「課題」)として設定するかについて書きたいと思います。
気づきのグルーピング
まずは出て来た「気づき」について、重複した内容のもの、似たような内容はグルーピングしておきましょう。教科書的には根本原因などに掘り下げて整理・分類する事が推奨されますが、コンサルタントや普段から現場改善の活動に従事している方でもない場合は、この時点で個々の内容を掘り下げていく必要はありません。基本的には、「同じ業務工程/データ(帳票や扱う情報)に対する似たような問題点の言及の場合はグルーピングする」と考えれば良いです。(もちろん、「気づき」の内容について詳しくない、不明確な場合は場合はグルーピングする前にしっかり内容を確認するようにしてください)
作業を行う上では、ここで一度グルーピングした「気づき」の要約タイトルを付けておくと良いでしょう。どの業務工程/データに対するどんな問題かが分かるシンプルな名称を付けておきましょう。
気づきのタグ付け
ここから様々な気づきのうち取り組む内容(課題)を絞っていきます。その基本的な方法は、「気づき」のカテゴリ分けと評価です。抽出した「気づき」(/グルーピングした「気づき」)について、いくつかの視点・軸でタグ付けし取り組むべき内容を評価します。
タグについては、下記の表の例を参照にタグ付けしていきましょう。
気づきのタグ付け:重要度はどう設定するの?
上記の中でも重要度のポイント付けについては悩まれる方もいますが、基本的にはその業務に関わる皆様のガッツフィーリングで構いません。ただ、そうは言っても上司やメンバーに説明する際に困る方は以下の観点で考えてみると良いでしょう。
- 部門戦略などに関連するか(戦略合致)
- 顧客への影響があるか(顧客価値、付加価値)
- 該当業務領域では QCDのどの観点が重要で、この問題はどの観点と紐づくか(QCD観点)
- 現状掛かっている費用や工数など(コスト)
教科書的には、大きな文脈の中で位置づけできる戦略合致、顧客価値・付加価値面で考えるのが良いですが、企業戦略に寄与する様な話はトップダウンに下りてくるわけでミドル・ボトムアップなアプローチとしてはあまり当てはまりにくいでしょう。そこで、一般的には4点目の金額換算をベースに考えるケースが多いかと思います。一定のロジックで定量化してみせる事もできるので分かり易いという側面もあります。
ただし、コストを絞る/工数をかけない事で、現状に比べて品質低下や納期が遅れる可能性があります。その結果その業務でみるとコストが下がったものの、後続業務にしわ寄せが来たり、果ては売上が減少したりという事態を招くかも知れません。前回記載した通り、QCDはトレードオフの関係にあるのが一般的なので、該当業務におけるQCDのどこが重要なのか、どこに問題意識をもって取り組むかがある程度方針づけされているとこの点での重要度付けに役立ちます。
課題を設定する
取り組む「課題」としては、上記のタグ付けを行った上で、重要度、緊急度の高いものを「課題」として設定します。第1ステップでいくつかの「気づき」をグルーピングしているかと思いますので、これらの問題についての対応の方向性を「課題」の名称(タイトル)としましょう。
先ほどの例だと、以下の様なイメージですね。
どういったものから優先的に「課題」として設定するかですが、本質的には「重要度」が高いものこそ会社に貢献すると言えます、とはいえ、まず手始めに対応する場合は「外部環境依存度」が低く、「緊急度」が高いもので一度実施する事をおすすめします。目の前の問題をクイックに解決した方が現場の理解が得られやすいので、初回は現場の賛同を得やすいもので成功体験を味わっておくのは、活動を広げる一つのコツです。
(余力があれば)課題の依存関係を考えてみる
もう一点さらに踏み込んで整理する方法として、「課題」に依存関係が無いか考えてみると良いでしょう。こちらは慣れが必要となりますが、どういった順序で対応を行うべきかを考える上では良いエクササイズと言え、いわゆるクリティカルパスが見えてきます。
さて、前回と今回のブログでは、どう「課題」を設定するかという点を説明してきました。本稿でも何度か繰り返した通り、取り組む課題の設定は重要です。一方で慎重になり過ぎたり、検討方法で悩まれているのは、あまりに勿体ないと思います。皆さんの普段の気づきから課題を設定していくのであり、特殊な要件があるわけではありません。是非、前回・今回の記事を参考に一度「課題」設定に取り組んでみませんか。
今後のコラムでは、設定した「課題」への「施策」検討についても記載したいと思います。
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当社が運営している業務改善ツール Ranabase では業務フローに「気づき」を収集し、これをグループ化して「課題」として設定し、それらの因果関係を分析する機能を備えています。本稿でご説明した進め方と矛盾なく、スムーズに改善サイクルを回せるようにすることを目指しています。こちらも併せてご検討頂けると幸いです。(ロゴをクリックするとRanabase紹介サイトに遷移します)