コラム
「変える」をキーワードにして、少し肩の力を抜いた、ざっくりばらんなネタをお送りします。「変える」ことに挑む皆さまの気分転換になれば幸いです。
現場リーダーの業務改善:①課題の捉え方

当ブログをご覧の皆様は、業務改善にご興味がある方々だと思います。
ただ、業務改善に取り組むと言っても、上長・上役から具体的な指示が出ている方もいれば、「どうも残業が多い」、「最近顧客や他部門からのクレームが多い」などと感じていて、自発的に業務改善に取り組まれようとしている方もいらっしゃるでしょう。後者の方の場合、そもそも取り組む課題をどう設定しようか悩んでいるといった所からスタートするケースも多いかと思います。本日のブログは、そんな皆様に向けての内容となります。
課題とはなにか、それが課題だ
何が課題なのか、それが課題だ。まるで哲学、禅問答の様ですね。業務を改善する際に、課題をどう設定するかは重要で、あまり意味の無い課題に取り組んだり、対応不可能な課題に取り組むのは徒労に終わります。
それを踏まえて適切な課題を設定するべきですが、その前にもう一つ禅問答の様な話をさせてください。そもそも「課題」とは何でしょうか。問題点というニュアンスで使うケースも多いかと思いますが、業務改善の活動では、「問題」と「課題」を分けて考えます。「問題」とは発生している良くない事象の事です。問題はさらに掘り下げたり依存関係を整理する事で根本的な原因が見えてきます。一方、「課題」とは取り組むべき事を指します。例えば、売上の減少という「問題」があり、掘り下げるとが新規顧客の流入減少がインパクトを与えていそうです。そこで、新規顧客の流入増や流入減少の阻止という「課題」に取り組むことになるかも知れません。
課題の設定、上から見るか?横から見るか?
では、課題の設定方法について考えていきますが、見出しのタイトルの様に二つの見方があります。
一つ目は教科書的な考え方で、「現状(As-Is)と目指す姿(To-Be)のGAP、それが取り組むべき課題です」といった説明を行います。まず目指す姿があり、そこに向けてどういった取り組みが考えられるかを検討していくわけです。一般論としてはこれが正論だと私も思います。
プロフィットセンターの部門は中計や年次計画からブレークダウンされたターゲットが示されており、そこに向けた施策とKPIを事業部レベルで作っている事が多いでしょう。このようなケースでは、上記の考え方でアプローチする事になります。このアプローチは、言わばトップダウンに課題を設定していくアプローチと言えます。
一方、間接業務・バックオフィス系の部門の場合には、目標や施策が明示されていない事が多く目指す姿やゴールと言われても困るという事態に陥りがちです。また、現場の諸問題を解決していきたいと自発的に考えている現場リーダーの方々も、上記のアプローチだとピンと来ない可能性があります。個人的には現場リーダー自身が目指す姿を置いてみるというのも悪くないと考えますが、そういうアプローチでは手が止まる方が多いという現実を多く見てきました。そこで、こういったケースではボトムやミドルからのアプローチが必要となります。
我々が推奨しているアプローチが以下となります。このアプローチは問題側からのアプローチとなり、発生しているネガティブな事象を「気づき」として収集し、「気づき」の優先順位(影響)や依存関係整理を行っていく中で重要な取り組むべきものを「課題」として設定します。課題に対しては、一般的に対応策がいくつか考えられます(「処方箋」としています)。実際に行う事にした対応を「施策」として、そのアクションプランが「To-Do」となるわけです。
見えないけれど、あるんだよ
先に挙げたアプローチでは起点が「気づき」となるわけですが、そもそも何かに気づくにはセンスが要ります。また、現状に慣れ親しんでいると、他人から見ると問題を感じられることも、やっている本人は違和感を感じていないという事は良くあることです。または、本人にとって面倒な事だけを挙げて来て、偏った「気づき」リストになる可能性もあります。
そこで、「気づき」の目の付け所について一種のフレームワークを用いてみることをおすすめしています。
下記に記載の「QCD」とは生産管理等の重要な3要素と言われているものですが、間接業務においてもこの考え方は援用できます。この Q・C・D の観点でみて、何か問題が無いかを意識して「気づき」を挙げていくわけです。これでも出にくい場合は、これらの観点で似たような業務を行っている部門やグループとの比較を行ってみるというのも面白い気付きを得られることがあります。(ただし、人の比較となりネガティブな感情が生まれない様に注意が必要です)
どんな業務でもこれらの要素を改善することは重要ですが、それぞれトレードオフの関係となる事もあります。そこで、特にその業務で重要な事や今問題があるのはどの要素かといった優先度を意識しておくと、その後の「課題」定義で役立ちます。
もう一点、、推奨しているのがブレーク(切れ目、分断)に注目することです。「組織」、「システム」、「媒体/メディア」の観点で、ブレークが発生している部分に注目します。ある業務の流れで部門間の連携がある場合(組織ブレーク)や、業務の流れの中で複数のシステムを利用している場合(システムブレーク)、紙、システム内の電子データ、FAX、などの情報媒体の遷移(メディアブレーク)、こういったブレーク(分断)で何らかの問題が発生するケースが多いので、あらかじめそこに注目して「気づき」を出すわけです。
このように、「気づき」出しの場ではフレームワークも活用しながら「気づき」をうまく抽出していきましょう。
では、次回「気づき」から取り組む「課題」をどう設定していくのか、また「施策」の検討についてご紹介していきたいと思います。
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